アルプスデンチャー

最近よく、本や雑誌・テレビ番組の特集で、歯と健康との関係について取りざたされています。これらはとても重要なことで、実際に、口腔と全身の健康には深い関わりがあることが、多く証明されてきています。しかし、全ての歯が、もしくは多くの歯が残っている人たちはともかく、歯が全く無くなってしまった場合はどうなのでしょうか?ここで一度、口腔と全身、そして総入れ歯との関連性を少し整理をしながら考えてみましょう。

しっかりと物が食べられるということは生命の維持にとって、当たり前のことですが、きわめて重要な営みです。そのため、体に必要な栄養素を口から取り込むのに、28本の歯が活躍して咀嚼運動が行われます。ヒトには親知らずを4本抜いたとして、28本の永久歯があるのが通常です。実はこれらの歯にはそれぞれの役割が分担されていて、前歯はものを噛み切る歯、犬歯はものを引き裂く歯、奥にある臼歯はものをかみ砕く歯になります。そして全ての歯がものを捕らえるのに適した形をしています。口の中で食物を歯が捕らえ、切る・引き裂く・噛み砕くといった咀嚼を充分に行い、唾液と良く混ぜ合わさって充分に柔らかくなった後に、最終的に上下の歯が最大面積で噛む位置で噛みしめながら、嚥下運動(飲み込む動作)がなされます。28本の歯があれば、難なくこなせるこの咀嚼という機能も、歯の無いの患者さんにはとてもたいへんなことだと思われがちですが、実はしっかりとした総義歯を作り込めば、咀嚼運動(切る・引き裂く・噛み砕く)の機能のほとんどを取り戻すことは充分に可能です。

アルプスデンチャーは自由診療を行う事により、保険診療では行えなかった咀嚼機能を備えた義歯を作成しております。

保険診療と自由診療について

歯科の治療には保険診療と自費診療があります。簡単に言えば、保険診療とは、国が定めた「国民健康保険」の枠組みの中で診療を行うもので、自由診療とは患者さんと歯科医師との間で契約をし、診療を行うものです。では、この2つの診療体系にはどのような差がでてくるのでしょうか。

保険診療の場合には、使用をすることのできる材料や「行えること」に制限がでてきます。材料に関してですが、保険診療では使用することが認められている材料以外のものを使用することは絶対に認められません。これは診療を行うための材料も歯を作るための材料の両方にわたります。

「行えること」とは、例えば義歯を製作するための手順に関しても定められており、それに従わなければならない、また一人の患者さんに対して6ヶ月に一つの義歯しか製作することができない、一ヶ月に一回しか義歯の調整をすることができない、また床の内面を粘膜の形に合わせ直す「リライニング」という作業も義歯を製作してから6ヶ月以降でなければ行えない等、多くあります。前述しましたが、総義歯治療には2つの段階があり、第一段階として良い義歯を製作して口の中に適合させること、第二段階としてさまざまな口腔内の変化に対応し、常にベストな状態になるように調整をしていくということです。つまり、これが総義歯によるリハビリテーションということになるわけですが、保険診療の場合には、リハビリテーションという考え方よりも、「製作した義歯に慣れてください」という考え方になってしまうと思います。

自由診療の場合にはそのような制約は一切ありません。使用できる材料は、人体に使用しても良いという許可を得た「厚生労働省の認可を得た」材料であれば、何でも使用することができますし、義歯を作るための方法や調整なども歯科医師の考え方で自由自在に行うことができます。また、診療にあてる時間も自由に使うことができます。

実際に、私が考えている総義歯づくりを保険の枠組みの中で行おうとすると、さまざまな大きな歪みが生じてきてしまいます。そのため、現段階で「良い総義歯治療・リハビリテーション」を行うためには、自由診療で行うほうが無理がなく、患者さんにとっても最善な方法であると思います。

コーヌスクローネ義歯とは?

術前

術前の写真

残った歯が減りすぎて、噛み合わせが狂ってきている状態。それにより頬がたるみ、鼻から下が小さくなって、老けて見える。


正中

上顎咬合面

側貌

下顎咬合面

上あご、両奥歯に歯周病が進行している。長期保存は不可能。
また、下あごの歯周病は軽いが、前歯のすり減りがひどい。

診断結果

上あご:歯が抜けても対応できる義歯を作成(コーヌスクローネ)
下あご:全部の葉を差し歯にして噛み合わせを整える(ポーセレン)

さあ、治療を始めましょう!

1.まず、噛み合わせ改善のための上下の仮歯をつくります

・入っている差し歯を削って外します。
・残りの歯を削り型どりします。
・仮歯をセットし、調整します。

2.仮歯による噛み合わせの改善とリハビリテーション

仮歯は本義歯を入れる前の大切なステップです。約3カ月間仮歯を使う事により、ゆがんだアゴを矯正して口元のあらゆる筋肉をきたえます。上下のバランスアゴの位置、顔ぼうなど最終的な仕上げを迎える前に仮歯、仮義歯で調整します。

3.本義歯の型どり

全てのバランスが整ってから最終仕上げをはじめていきます。

4.上あご(コーヌスクローネ)の状態

コーヌスクローネは取り外しの可能な差し歯です。

5.下あご(ポーセレン)の状態

ポーセレンは取り外しの必要がない接着タイプです。

術後

術後の正面写真
術後の横写真
術後の正中写真

上下のあごのバランスが取れ、若々しく美しい張りのある口元になりました。
義歯は、いずれ数本の葉が抜ける事も考えて作りました。それにより、今後の治療にかける時間と費用を少なくする事が可能です。